ハノイ街歩き
ハノイは、混沌とした街です。ほんまカオスですよ、カオス。
今思えば、ホーチミンは、同じベトナムでも、
1975年まで民主主義だったので、ハノイよりは秩序がありました。
ハノイは、首都とは言え、さすが、筋金入りの社会主義国家です。
道路には、信号がありません。センターラインがありません。
バイクや車が縦横無尽に走っています。
この道は一通か?て思っていると、逆行してくる無謀な車があり、
それが2台になり、3台になり、数秒後には、逆向きの一通に変わっています。
歩道は、ただのバイク置き場で、その隙間に、
人々がお風呂の椅子みたいなのに腰掛け、くっちゃべって涼んでいます。
だから、ハノイ街歩きは、車道を歩くしかありません。
バイクや車は、いつでも止まれるくらいの遅いスピードでしか走れません。
街には、クラクションの音と排気ガスが充満しています。
あの人らに、そうやってすぐにクラクションを鳴らすと、
いざという時に、効果がなくなるよ、とか、
信号で一旦全員止まって、整理整頓した方が、
もっと早く前に進めるんだよ、とか、
駐輪場を作って、歩道を歩けるようにしたほうが、
道路が広く使えて、もっと早く前に進めるんだよ、ということを
解ってもらえるには、10年はかかりますよ。
いや、もともと、「もっと早く前に進む」なあんてこと、眼中にないですか。
街は区画整理されていなく、大通りもなく、ちまちました道路ばかりです。
まっすぐ歩くと、どうしても道を横断しないと前に進めないので、
バイクの流れに突入して進んで行くしかありません。
「えいやっ」と目をつぶって流れに飛び込むと、
車やバイクが人間をよけるので、どうにかこうにか無事に渡り切れます。
横断中に急に走ったり、立ち止まったりしてはいけません。
車がコチラをよけ損なってしまいます。もうほんと、まじ怖いっすよ。
道はゆるやかに曲がっているうえ、
街にはランドマークがなく、太陽も出ていないので、
どっちの方角に行っているのか、すぐに解らなくなってしまいます。
地図を出すと危険、とは知りながら、
「地球の歩き方」を開き、折り込み地図で確認するも、
地図のストリートの名前が小さくて、読めません。
2人とも老眼が入っちゃったようです。ルーペが必要でした。
「あの看板見て!ここ、昨日も来たんだよ」でも、それがどこか解りません。
最終日になると、どの景色も記憶にありますが、ただのデジャブです。
その道と目的地の相関図が、全く描けません。
「いやほんま、アタマ悪いねん。」
「こういうのが、脳の老化なんちゃうかな。」
と、どしゃぶりの中、立ちすくみ、落ち込む老夫婦なのでした。
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